
二つの判断基準:発熱と電圧降下
ケーブルの断面積は、二つの条件を満たす必要があります。第一に、使用電流でケーブルが許容範囲を超えて発熱してはなりません。これを表すのが許容電流で、ケーブルの種類、周囲温度、配線方法、結束の状態によって変わります。
第二に、ケーブルでの電圧降下が大きくなりすぎて、負荷に届く電圧が不足してはなりません。特にケーブルが長い 12 V や 24 V の車載電装システムでは、電圧降下のほうが厳しい判断基準になることが多くあります。
電圧降下を計算する
直流では、近似的に次の式が成り立ちます。電圧降下 ΔU = 2 · L · I · ρ / A。ここで L はケーブルの片道長さ(m)、I は電流(A)、A は断面積(mm²)、ρ は銅の抵抗率です。係数 2 は往路と復路の導体を見込んだものです。ρ は実務上、20 °C で約 0.0178 Ω·mm²/m とします。
断面積について解くと、A = 2 · L · I · ρ / ΔU となります。電流を車体アースで戻す場合、ケーブル側の係数 2 はなくなります。その代わりに、アースへの接触抵抗が加わります。温度が高くなると銅の抵抗は大きくなり、電圧降下も大きくなります。
計算例
12 V で 10 A の作業灯を、長さ 6 m のケーブルで接続します。往路と復路の導体を配線するものとします。許容される電圧降下を 3%、つまり 0.36 V とします。このとき A = 2 · 6 m · 10 A · 0.0178 Ω·mm²/m / 0.36 V ≈ 5.9 mm² となります。選ぶのは一つ上の標準断面積で、この例では 6 mm² です。
2.5 mm² では電圧降下が約 0.85 V、つまりおよそ 7% になります。作業灯は目に見えて暗くなります。どこまでの電圧降下を許容するかは、負荷機器のメーカまたはお客様の仕様が定めます。
その他の影響要因
- 周囲温度と熱源との距離
- 結束:一つの束に多くのケーブルが入ると、互いに熱を与え合います
- ケーブルの種類と絶縁材料、およびその許容温度
- 短時間だけ流れる電流、たとえばモータの始動電流
- ヒューズ保護:ヒューズと断面積が適合していること
- 端子と圧着:端子がその断面積に対して承認されていること
AWG と mm² の換算については、AWG 換算表をご覧ください。設計をご自身で行わない場合は、当社の設計部門が担当します。


